この「世界のジャポニカ米報告会」も今回で第7回となりました。1991年に本調査・研究をスタートして以来、世界および日本の状況も大きく変化しました。回を重ねる毎にコメをとりまく世界状況の着実な変化・発展に私たちも驚いているところです。また、新しい貴重な発見も海外で調査するたびに得られております。常に変化発展する世界のコメ経済に対し、少しでも早く社会にご報告しようとこの報告会を始めたわけです。このように全国から出席者があり、また毎年にわたり継続できているのも研究メンバーの一致協力した気持ちがあったのに加え皆さんの叱咤激励とご支援を賜ったからであると認識しております。
最初の4回までは鳥取大学で開催しました。その後は、鳥取までは足を運びにくい方々のことを考え、地方をまわることにいたしました。そのはしりとしてまず1997年3月に東京大学で開催し、昨年が神戸大学、そして、今年は九州・福岡にて開催することといたしました。またもや全国から100人を越える参加希望者があり、私たちもその責務の重さを認識している次第です。
この研究は文部省科学研究費(国際学術研究)の助成金により、1991年度にスタートいたしました。日本のコメ供給が徐々に海外に依存しようとする論議が白熱する中で、海外において日本人が好むジャポニカ米の生産がどれほど可能であるか、将来に向けての潜在的生産能力はいかほどのものであるか、ジャポニカ米の生産、流通の現状はどうなっているのか、など、多くの疑問点が湧いてきたことがきっかけでした。そして3年間続けた後、1994年度はお休みをいただきました。1995年から「世界におけるジャポニカ米の生産・流通と潜在的生産能力に関する学際研究」(課題番号:07041059)のテーマで再び調査・研究を行い、そして、1998年度からは再び3年間にわたり第2弾として「世界におけるジャポニカ米の生産・流通を潜在的生産能力に関する学際研究
,その2」(課題番号:10041073)が新たにスタートすることとなりました。
国際貿易においては海外の供給能力を明確に把握し、お互いの信頼関係を築きながら関係を保つことが望まれます。また、近年は世界各国で自由化政策が押し進められており、生産体制や貿易の構造も変化をきたし、輸出競争は激化の勢いであります。私たちは、そうした状況下において、世界における新しい情報を少しでも多く社会に提供することによって、新しい政策の確立や農業を含むあらゆる分野の産業発展のお役に立てればとの思いからこの調査・研究を継続しております。
なお、この資料は今年度に海外調査をしたメンバーを中心にレポートしております。また、各レポートは各人がそれぞれに調査したものを独自にわかりやすくまとめたものです。各レポートの間で重複している部分があるかもしれませんがどうぞご了承ください。
本資料が読者一人一人の方々の今後のご発展に役立てば私たちにとりまして望外の喜びであります。限られた予算からの制約はございますが、今後ともどしどし調査研究してゆきたいと考えております。どうぞご支援よろしくお願いいたします。
最後になりましたが、この報告会の準備及び資料作成にあたり、多くの機関組織に多大なる協力を得ました。また、九州大学農学部の甲斐研究室の専攻生及び鳥取大学農学部情報科学講座の専攻生からは大きな協力を得ました。ここに衷心より謝意を表します。
1999年2月26日
研究者代表 伊東正一
本研究による現地調査国
1991年度:アメリカ合衆国
1992年度:アメリカ合衆国、タイ、フィリピン、インドネシア、シンガポール、
オーストラリア、イタリア、スペイン
1993年度:アメリカ合衆国、中国、イタリア、スペイン、フランス、英国、
オランダ、ハンガリー、ブルガリア
1995年度:アメリカ合衆国、中国、インド、イタリア、スペイン、ブラジル、ベトナム
1996年度:アメリカ合衆国、中国、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、
オーストラリア、ニュージランド
1997年度:アメリカ合衆国、中国、フィリピン
、ラオス、ミャンマー、オーストラリア、
ニュージーランド、マダガスカル、エジプト
1998年度:アメリカ合衆国、中国、ロシア、カザフスタン、ベトナム