教育・研究への視点
伊東正一
私は教育活動においては、まず学生に楽しく学ぶことのできる場を提供することを目標としている.「楽しく学ぶ」ということは、生きることの基礎を歓びをもって学ぶということを私は意味している.大学では専門知識が要求される.よって、その専門分野を通じ社会に出て働くことの自信を身につけるような教育を施したい.具体的な教育方法として、@海外の農業・食料情報を多く取り入れた講義及び教育を行うA海外の研究者を本学部に招き、国際セミナーを数多く開催するB独自に海外調査に出たい学生諸君に対し、適切なアドバイス及び情報を提供するCインターネットを駆使して世界の情報を収集する。こうして多くの手段を通じて国際的な視野を広げ、そうした中で日本の進むべき方向を模索することができるような教育を学生に施したい.
一方、研究においては「これまでの研究概要」に記した研究内容を継続し深めていくと同時に、海外の農業・食料事情をできるだけ多く、かつ学際的に研究し、日本のこれからの国際協力とその対応はどうあるべきかについて論究してゆきたい.具体的には@現代における諸外国の食料政策の状況調査と計量経済学的分析A世界の食料需給構造の見通しB日本の果たすべき役割−−をより明らかにしてゆきたい.生産、流通、そして情報伝達を含むあらゆる部門での技術の発展により世界における食料の生産・流通構造も刻一刻と変化してきている.これと並行して各国の農業対策も変化しており、そうした中での国際協調が望まれている.また、各国それぞれの食料確保の問題も同時に対策を建てていく必要がある.私の研究はそのような政策決定の立場にある人に対し的確な情報を提供することを抱負としたい。
こうした教育及び研究の総合的かつ効果的な取り組みとして、学生による海外調査への参加や海外におけるボランティア活動をできるだけ多く取り入れてゆきたい。学生にとって現場を体験すると言うことはきわめて意義深いことであり、こうした経験をできるだけ積ませ、教官の研究と学生の教育が相乗効果を生むような取り組みを進めていきたい。
近年の情報伝達技術及び交通・流通手段は数十年前に比べ隔世の感を覚えるほどに変化してきている.かつては地方都市はデメリットがあったが、近年は大都市と地方都市との生活における便利の差は極めて少なくなり、むしろ環境の面で地方都市の魅力が高く評価される.そのようなリッチな生活環境で、現代の文明技術、とりわけ情報伝達手段、交通手段にも恵まれ、国内調査はもとより海外出張に際しても大都会の衛星都市より恵まれた環境にあり、教育面でも学生諸君にとってすぐれた学びの場を提供していきたいと考えている。