ArcViewを用いた世界食糧統計の地図化

 

鳥取大学農学部  長澤 良太   

 

はじめに

この図集は、世界食糧統計に記載された世界のコメ、大豆、小麦、とうもろこしの4作物の年間生産高について、1961年から2000年(一部1999年)を5年間隔でその平均値を求め地図化したものである。地図化の作業にあたっては、地理情報システム(Geographic Information SystemGIS)の世界標準である米国ESRI社製のデスクトップソフトウェア「ArcView Ver.3.2」を用いた。

 

作業の方法

 世界食糧統計は、スプレッドシート形式のディジタルファイルとして準備されている。このデータファイルには世界137ヵ国の食糧統計値がカラム方向のアイテムとして入力されている。そこで、統計ファイルのレコードごとに新たにユニークなID番号を付記し、地図ファイルとのリンクを作成した。

 統計ファイルは1961年から2000年までの40年間にわたる穀物生産高が記録されているが、ここではこの統計期間を5年ごとに分割し、各5年間の平均値(平均生産高)を求めて地図化作業を行った。これによって、過去40年間の生産高の時系列変化をビジュアルな情報として提供できるものと考えた。

 

地図データの様式

 ArcViewによって作成される地図データファイルは、ArcView独自の.aprファイルと呼ばれるもので、エンドユーザーがこのソフトウェアを持たなければ地図データを閲覧することができない。そこで、ここではArcViewのエキスポート機能を利用し、地図化された図形ファイルをWindows BitMap形式に変換することにした。これによって、成果品である各統計地図はInternet ExploreNetscapeのようなブラウザーソフトウェアによって誰もが閲覧することができるようになっている。

 

今後の課題

 GISの世界は日々技術革新が進んでおり、今後は如何にGISエンドユーザーの裾野を拡大していくかが重要なポイントである。このためには、インターネットを通じた情報流通との融合化が必至である。先述のESRI社では、インターネットエンドユーザーを対象としたGISデータ閲覧ソフト「ArcExplore」を無償で配布している。今後、こうした閲覧ソフトウェアを用いることによって、食糧統計地図に関わるGISデータを積極的にネット上で公開する計画である。